htomine と インターネット と 生活

htomine (とみね) の生活について書きます。

アバターと私と2019

こんにちは、とみねです。
この記事は cluster Advent Calendar 2019 - Adventar 9日目の記事です。

というわけでclusterのアドベントカレンダー、やっぱりバーチャルに関することを書こうかなと思うわけです。
そこで今年一年を振り返ると、自分としては「アバター」という概念について思うことが増えたなあ、というのが感想でした。

去年のAdvent Calenderにかいた通り受肉したのがちょうど1年前。

受肉する、ということは書いた通りあまり自分事として考えていなかったのですが、やはりしてみるとわかることもありました。
昨年来自分のアバターとして存在してもらっている「遠見海(とおみ うみ)」ちゃん。

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昨年の記事からも少しアップデートし、髪の造形を整えたり、いろんな衣装を揃えたりしてみました。
また、趣味の自作キーボードの領域でも活躍してもらっていて、Luppetをつかった組み立て動画の配信なんかもやってみました。

配信に関しては、とにかく「いてくれるだけで映えるなーーー!」ということですね。Luppet とはLeap Motionというセンサーデバイスを使って手軽に自分の動きをVRMアバターに反映させられるデバイスなんですが、自作キーボードのキット組み立てというはちゃめちゃ地味なシーンも、「なんかかわいい子が手をうごかしてるぞ…!」というだけで結構映える絵になるので驚きでした。
他にも、コミックマーケットへの参加の際のサークルカット

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これも、イラストが描けない民としてはなかなか手軽に映えさせることができたかなと思います。好きにポーズをとってもらえるのも助かるところですね。
同じように、「天下一キーボードわいわい会 Vol.2」のお品書きです。

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自分にとってこうした企画でサークルとして出展するにあたって、屋号というものは特にイメージの無いものでした。
海ちゃんをアイコンとして使うことは、前述のとおり見た目にハマる感じが出せることもあるのですが、やはり「自分のアイデンティティを反映したキャラクターである」というところで、圧倒的に「しっくりくる」ものがあります。
海ちゃんとはアイコンであり、自己表現でもある。そういう存在がいてくれることは、自己表現を社会と接続させることにおいて、とてもやりやすいなあと感じました。
例えば自分のアイコンとして10年近く使っている下記の画像。

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これだって立派にアバターとしての役割を果たしてくれているわけですが、これはあくまで、自分が使ってきたことで逆説的に「自分」になっているだけなんですね。
そう思うと、これを軸にして屋号として出してみたり、自分を象徴するものとしてあえて出してみることって、結構「違うな」と。

海ちゃんは、自分の好みや嗜好をまさに反映したキャラクターなわけです。例えばミリタリーであったり、タトゥーが入っていたり、ビビットなパープルのグラデが入った髪色であったり。
自分はずっと↑の緑の眼鏡アイコンを自分の「アイデンティティの表現」だと思いこんで使っていました。それは、確かにずっと使うことで自分を示すアイコンにはなっていると思うのですが、海ちゃんに込められているような表現ってしようがないしできていないわけです。
そういうところが、「キャラクター」の懐の深さなんだなあ、と感じました。


一方難しいなと思ったのは「声」です。
そもそも私の考えとして、「自分のアイデンティティをオンラインに乗せていきたい」ということがあり、いわゆる「バ美肉」しきることにそこまでモチベーションがないことは前の記事でも書いたとおりで、それはいろいろと活動してみる中でも変わらないつもりでした。

とはいえ、やはり「声」抜きで存在する海ちゃんは、どこか空疎に感じます。
特にそのことを考えるようになったのは、バーチャル空間で仲良くしたい人ができてからでした。

元々はリアルの知り合いから仲良くなり、もっと仲良くなりたいなと思っていたのですが、その人は当時、VRで活動する、生きることに強い関心を持っていました。
まぁ色々背景はあるのですが自分としては単に、どうしたらその人と仲良くなれるか、というところに興味がいくわけです。

じゃあ VRChat で会いましょうとなったとき、自然と私は海ちゃん、その人はその人のアバターで会うことになりました。
相手は声も含めてバーチャルな存在として在ろうとしている中で、自分は中途半端に外見だけアバターをまとって、声はそのままで。もちろんそういう在り方も許されるのがバーチャルとは思いますが、相手との関係の中でそれは、とても中途半端な気がしました。

というわけで早速ソフトウェアボイスチェンジャの環境を整えてみたわけですが、単に遅延を含んだ状況で会話するのが難しい、というだけでなく、「自分が自分以外の声を出す」というのがとてもハードル高く感じました。
けどたぶんこれって慣れの問題なんですよね。しかし家で練習しようにも、すぐ後ろには妻が寝ている状態であり、自分がハイトーンな声でしゃべり声出しの練習をする、、というのが猛烈に恥ずかしい!
しょうもない感情だとはおもいつつもやり切れませんでした。。
その後友人がスタジオを借りる際に便乗して密室で練習してみたりもしましたが、結局ものになる前に練習をやめてしまいました。

でも、バーチャルでイチャイチャする体験はめちゃくちゃ良かったです。おすすめ。*1


そんな体験もあり、「アバターってリアル世界の身体性から自由にしてくれるもの…なんだろうか、本当に」と思うようにもなりました。

身体性からの解放も一定事実だろうなとは思っていて、私自身もいわゆるゲームの世界でアバターに自身を託すことはこれまで何度も何度も行ってきました。
私は自分自身を好きなほうだと思いますが、それでも常に、自分を捨てて誰かになりたい、こうでない自分があったらどうだろうか、と想像することはあります。だれしもあることだと思います。
アバターカルチャーが「ゲーム」の枠を超えて使われだすのがこれからの未来だとして、そういう願望が手軽に叶えられることは悪くないことで、アバターでできることが増えていくことは純粋に利のあることのようには感じます。

一方で、前の段に書いたようにそうなり切ることってやはり難しいことです。技術的なハードルの高さもあるでしょうし…また、例えばバーチャルで理想の自分となったあとで、現実の自分に戻らなければいけないとしたらどうでしょう。
とらえ方は人によると思いますが、より理想が具体化するだけ、ギャップもくっきりと見えてしまうのかもしれないなと思います。
無邪気にアバターが人類の可能性を広げてくれる、と思うこともありましたが、それだけで救いが訪れるわけではないのかもと思うようになりました。

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はいかわいい

もう少しシンプルな考え方として、いずれにせよ可能性は広いほうがよい、とはおもいます。アバターや、アバターが活躍できるバーチャル空間の存在は今後より大きくなっていくと思いますし、それらが担えることも増えるでしょう。
それで完全に救われるわけではないとしても…すくなくともその時に希望の一つになりうるくらいには、それらの存在を大きくしておきたいもので、加速のし甲斐があるものだと感じます。


というわけではちゃめちゃふわっとした随想をお送りしました!バーチャルやっていきましょうですね。
明日はるーしっどさんによる「VRイベントに関するポエム」の予定です!お楽しみに~

*1:(ちなみに弊家の関係性の持ち方は色々あるのでこれらの事情も妻とは共有していますよ)

VRライブイベント「バーチャルライブ(仮)」に参戦しました

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弊社であるところのclusterプロデュースのバーチャルアイドルユニット、「バチャカリ」のファーストVRライブ「バーチャルライブ(仮)」に参戦してきました。いやーー無事に終わって本当によかった。

cluster.mu

実際のところ自分はWeb担当なのもあって、ライブ運営自体には殆どコミットしてはいませんが、メンバーがギリギリまでクオリティを上げようとしてる様子を見て、世の中の現場はこうやって作られているんだなーとテンション上がってました。

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実はVRライブ自体も、昨年の輝夜月ちゃんのライブはライブビューイングでの参加だったので初体験。
ライブハウスの入り口から作り込まれた会場に続々と参加者が訪れてライブが始まるのを待つ様子や、腕を振りながらステージ下から見上げる感覚は十分にライブ体験と言って良いものでした。

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会場は小さめのライブハウスを模した空間。入り口から期待感が高まります。

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参加している人たちも皆思い思いに手を降ったり踊ったりしていて、ライブを楽しんでいる感じが伝わってきました。
Vアイテムというおひねり的システムもあり、実際にアイテムを掴んで投げると花火があがったりハートが浮いたりします。
そういった演者さんとのインタラクティブなコミュニケーションも、ライブを一緒に作ってる感あってよかったです。

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このライブのために書き下ろされたオリジナル曲「キミジシン」。めっちゃアツい曲で最高でした。。https://twitter.com/daichi307/status/1092040032767029249

このバックバンドも最高にかっこよかった。ギターがオリジナルデザインなのも良いですし、演奏もパワフルで。
ちなみにオリジナルソング「キミジシン」の詳細は下記。これ本当にガチですごいプロの方々による作詞作曲で、本当に良い曲だった。。。

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めっちゃ暗くなってしまったが、アバターで参加できるのも楽しいところ(今回のライブでは、描画負荷軽減のため他人からは標準アバターで描画される仕様となっている。)


VR体験といったときに、現実さながらの体験を家にいながらできる、という良さがまずあると思う。実際僕も今日、ご飯を食べたあとに自室のPCの前から参加した。 他にもアバターで参加できる楽しみもあるだろう。
ただ、そこはまずスタートラインというところで、実際はそこから如何にVRらしい演出、体験を生み出せるかが、今後このジャンルが発展するかどうかのポイントなのかなと思う。
Vアイテムであったり、自分らしい着飾ったアバターで参加するのは一つそうした試みでもあるけれど、今後clusterからよりバーチャルの質を上げた体験を生み出して、人類の想像力をそのままに体験できる世界として、バーチャル空間の発展を加速させていけるといいなー、と感じた体験でした。

写真がよい

ちなみに、clusterでは写真撮影の機能があるんだけれども、ツイートで流れてくるみんなの写真がめっちゃいい。のでいくつか紹介します。

↓この写真がめっちゃよい

↓このいつきちゃん&はなちゃん可愛すぎる。。。

↓動画も今回は撮ってOK、とのことだったので。こんな感じです。

↓ステージ真下の感じはマジで臨場感たっぷりで最高。。

↓彼女たちのこれからもとっても楽しみ。早く三人そろったところがみたいものです。

↓くらすたーちゃんもいつかライブするのかな。。


VRoid製アバターに迷彩服を着せ、VRoid Hubで自慢する

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くそかわいいのでいきなりネタバレします

前回はVRoidでモデルを作成し、clusterで読み込むということをやった。
前回作成したモデルではBoothで配布されている服のテクスチャを購入し、デフォルトから着せ替えて完成とした。
とはいえ形状はあくまでデフォルトの制服に近く、どこか没個性的な印象が残っていた(いや、衣装は十分にかわいいのだけど、キャラクター造形に個性がないのだとおもう。。)。
そこで今回は、元々の計画でもあった「ミリタリールック」な衣装を実現して、多少なりとも個性を際立たせたい。

VRoid 製アバターの衣装をカスタマイズするには

フルにカスタマイズしたければ、Blenderなどの3DCGソフトでVRMを読み込むのが常道のようだ。
検索すれば以下のような記事が沢山みつかるだろう。

www.cg-method.com

ではVRoidで完結することは可能だろうか。
前回も書いたが、VRoidでは現在の所既存の制服かワンピース(最近ワンピースの形状を調整できるようになった!)に対してテクスチャを貼ることでのみ改変が可能となっている。 そのため自由度はそれほどではないし、なにかしら小物をもたせるということも難しい。
が、Boothでは、そんな中でも工夫をこらしテクスチャの配布のみで様々な衣装や小物が制作されている。

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また、少し服の話からは逸れるが、小物についてはVRoidのなかではかなり自由度の高い編集システムをもつ髪の毛に着目して表現の自由度を高めている事例もたくさんでてきた。

hub.vroid.com

例えばこちらのキャラクターの髪飾り?はそれ自体髪でできている。

sodememo.com

こちらの記事では、髪の毛を利用してメガネを作る方法が紹介されている。
メガネは装着予定なので大変気になる記事だ。
ぜひチャレンジしてみたいところだが、私の場合はclusterでの利用が最終的には条件となるので、その場合髪の毛のモデル数を増やすのはあまり得策ではないようにもおもう。。

そんなわけで、いずれはBlenderも使う必要がありそうだが、今回は、Boothを巡回していたところ理想にぴったりの衣装を発見したため、 そうした既存の配布テクスチャの改変という方向で実現してみることとした。

まずは迷彩パターンを作成する

mrslip777.booth.pm

今回目に止まったのはこちらの衣装だ。軍服をアレンジしたミリタリー風ドレスといったところだろうか。
これに好みの迷彩パターンをうまく切り貼りすれば、いい感じに迷彩服を作れそうな気がする。
Boothで販売されているデータはとにかく安いので、ブーストしつつ購入していく。

というわけで、まずは迷彩パターンを用意する。

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今回使うのはこの迷彩パターン。ドイツ連邦軍のトロペンタンというやつだ。
私はこの迷彩パターンが好きすぎて、サバゲ用のBDU上下だけでなく銃もこれに塗り、スニーカーまで買って、ついにはキーボードまでこれで塗装した。 バーチャルな存在にあってもぜひこれを着たいと思っていた。

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まずは、上の写真に写っているサバゲ用のBDUスマホのカメラで撮影する。昔は服を直接コンビニのコピー機にかけたが、今ならスマホのカメラでも十分な解像度がある。。

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撮った写真をフォトショに読み込んで折り目や縫い目などの不要な部分を修正する。
イラレに取り込んで適当に線を認識させ、あとはもとの色で塗りつぶせば完成だ。
トロペンタンは色の境目がはっきりしたフレック迷彩なので、データ化も比較的簡単にできる。
マルチカムのような色が混ざり合うような迷彩だとこうはいかないだろう。

購入したテクスチャデータをカスタマイズする

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さて、ダウンロードしてきた衣装に上記のようにさきほどの迷彩パターンを貼り付ける。
ここからはPhotoshopで作業した。
(上記画像は念の為デフォルト衣装のテクスチャで説明している。)

なお、購入したものとはいえ権利表記についてはよく確認したい。たいていReadmeが入っていてそちらに記載がある。
大概の場合は商用利用などを考えない場合改変も問題ない事が多いが、稀に権利表記をもとめるものもあるのでよく読んでおこう。

衣装のテクスチャがない箇所はいい感じに無視されるっぽいので、とりあえずベタベタと迷彩パターンを貼ってしまう。
その後レイヤーオプションでブレンド方法を変え、ベースとなる衣装の質感表現がうまく透けるようにする。

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一旦出来たら、VRoidで読み込んで確認してみる。
すぐにプレビューできるので作業はしやすい。

おそらくこの状態だとベースとしている衣装の質感表現はだいぶ埋もれてしまっているはず。
そこで、衣装の表現を極力残せるよう工夫する。

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例えば上記は購入した衣装のリボン部分。普通に迷彩パターンを重ねると、服の地の部分もリボン部分も、同一の迷彩パターンに上から塗りつぶされ衣装が平面的になってしまう。

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そこで、リボン部分だけの選択範囲を作成するなどし、別レイヤーに切り出しておくことで迷彩パターンによる塗りつぶしをさける。
ついでにシャドウも落としておくと立体感をより強調できる。

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また、こうした主線の部分も同じく迷彩パターンで塗りつぶされてしまって質感表現を弱めてしまう。

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線の部分だけ強調したいので主線や質感表現が強調されたレイヤーを作成し、上手くブレンドする。

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フォトショ作業に慣れている人なら簡単にできる作業ばかりだし、そうでない人でもPictBear(は流石に古いか・・)とか、レイヤー機能とブレンド機能のついた画像編集ソフトであれば同じことができるだろう。

ひとまず完成!

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というわけでひとまず完成した。
上記の迷彩服以外にも靴のテクスチャに靴紐を描いたり、肌のテクスチャにタイツを作り、タトゥーを入れるなどした。

完成したアバターはVRoid Hubで閲覧できるのでぜひ見てほしい、うちの子かわいい。

hub.vroid.com

clusterに取り込む

せっかく可愛くなったので、ぜひclusterで使ったところをお見せしたい。
が、今回ついでに髪の毛がハゲ気味だったのを修正した結果コンポーネントの数が増えてしまったのでこのままではVReducerを通しても登録できないと思う。。
というわけで、次回は下記の記事を参考に、clusterで読み込むところまでをやってみたい。

VRoidで作ったVRMキャラをBlenderに読み込みテクスチャーを整理してcluster.にアップ:アロハのブロマガ - ブロマガ

私の2018年と自作キーボード Part2 自キ勢の暑い夏とイベント

大遅刻ですが本記事は 自作キーボード #3 Advent Calendar 2018 - Adventar 12/19分の記事です!!!!!


前回の記事では夏ごろまでをふりかえった。
2018年、平成最後の夏は自作キーボード沼の住人にとっては特別に熱い夏だったのではないだろうか。
crkbdとHelix Picoとの出会いの前に、今年の暑い夏について主観で振り返ってみようと思う。(という書き出しで始めたら長くなってPart2では収まらなくなってしまった。。。)

それは春とともに始まる

夏とかいたが、思い返すと春ごろから始まっていたのだ。
4月22日に開かれた技術書典4 | 技術書典ごろだろうか。
このイベントでは Biacco42さん、Romlyさんが並んでいたのを覚えている。Romlyさんのところではキーキャッピーをお迎えし、Biaccoさんのところでは本と合わせて Meishiを入手した。
ここでBiaccoさんからDiscordサーバー、Self-Made Keyboards Japanの存在を教えてもらった。今思うとここからコミュニティと接続し始めたのだなと思う。

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5月6日には、Tokyo Mechanical Keyboard Meetup Vol. 4 | Meetupが開催された。が、これは予定があって参加できなかった。とてもとても楽しそうだなと思っていたので非常に残念だった。Romlyさんの参加記事がとても楽しそうで悔しい!Tokyo Mechanical Keyboard Meetup Vol.4 – Romly

6月5日にはHHKB ユーザーミートアップ vol.2 with 東プレ | Peatixが開かれた。
なんとこのイベント、二大国産キーボードメーカー自らのイベントにも関わらず、自作キーボードが大きくフィーチャーされていた。高級キーボードの世界事情と題したセッションで、ぺかそ@Pekasoさん、じゅにゃ@junya28nyaさんのお二人が登壇されたのだ。懇親会でもキーボードを展示するスペースが作られ、多くの自作キーボードが設置されていた。
当時自作キーボード界隈と接近したかった自分はHHKBユーザーでもないのに速攻で参加を決めた。レツプリを持って行くつもりが忘れてきてしまったこともあり、なんとなく界隈の話には混ざれなかったなーみたいなことを思った気がする。ああいう場で話に入って行くのはあまり得意ではない。。とはいえ、自分としては初めて他の人の作ったキーボードが並んでいるところを見られてとても有意義だった。
レツプリに感じていた配列の悩みを解消してくれるようなものがあったり、以前から気になってたトラックポイント付きのキーボードTEX Yodaが見れたりした。

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そしてアツい夏が始まる

そして8月。この月はすごかったなと思う。
まずはMaker Faire Tokyoだ。Discordサーバー有志が集まることになったこの会はとても刺激的だった。takashiki氏の昇華印刷キーキャップ、riv_mkさんのハシビロコウキーキャップ、nameless氏の射出成形ロープロキーキャップ、後に皆がこぞって買ったjacoさんの3Dプリントキーキャップやダイヤルのついたキーボードのモック。 foostanさんのcrkbd v2.0のα版基板。tokyomk4に行けなかった自分にとっては本当にアツかった。

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そしてもちろんMint60、Blockey、Helix Picoの発売もビックニュースだった。Mint60の長蛇の列にはみんなが驚いた。
新しいキットが発売されるごとに、界隈の熱量が上がって行くように感じた。
個人的に衝撃だったのは、MFT1日目で発売されたHelix Picoを買ったyohewiさんが、二日目の朝にはキットを組み、さらにはオリジナルの3Dプリントケースまで製作して持ってきていたことだ。このスピード感はFab時代ならではのことで、驚きのあまり速攻でPicoを買ってしまった。ケースをつけたPicoはめちゃくちゃカッコよかった。

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この会では自作のケースを使ったIrisも展示することができた。ようやくコミュニティの一員になれた感じがして、とても嬉しかった。

その翌週にはコミックマーケット94が開催された。ここにも自作キーボード勢の姿があった。MFTで完売したはずのMint60・Blockeyを超速の在庫復帰で持ち込んだゆかりさん、ぺかそ氏のFortitude60の発売、takashiki氏の犬キーキャップ他。自分はコミケではスタッフ参加なので自分の目で見に行くことはできなかったが、TwitterやDiscordでの盛り上がりはすごかった。

まだイベントの流れは続く。 8月25日にはTokyo Mechanical Keyboard Meetup Vol.5 | Meetup が開催された。よくよく考えると、この規模のキーボードミートアップが3ヶ月ごとに開催されたのは結構すごいことだ。MFTですらたくさん集まったキーボードに驚いたものだが、tokyomkは流石にすごかった。

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Input ClubのHaaTa氏の最高にマニアックなキースイッチの発表も刺激的だった。日本のレトロなキーボードの話について海外の方の方が詳しいというのはなんだか面白い。(ちなみに、発表に使われていたっぽい図が集まったページを見つけたのでポイントしておく https://plot.ly/~haata#/
ぺかそ氏のEndGameの図には誰もが唸ったし(そこか?)、Biacco42さんのARMベースのキーボードファームウェア開発の話はとてもオープンソース的で、自作キーボードブームはそもそもがオープンソースハードウェアのムーブメントなんだなーと再認識した。
二次会では ai03氏と話したのが印象に残っている。海外のキーボードブームと日本のブームの違いや、高級キーボードの流れなど。地域性ではないが、似たようなブームでも違うところがあって面白いし、またそれを繋いでくれるような人がコミュニティにいるのもとても面白い。

この流れに乗るような形で、9月1日には ゆるキー vol.1 - connpass を開催した。ついに主催する側に回ってしまった。。と言っても、youonさんが計画されていたところへ、場所取りのお手伝いをさせてもらった程度。
当日は35人が集まり、狭い会場ながら大盛況だった。個人的にはlubeに興味を持つきっかけとなるような打鍵感を知ることができたし、大沖先生の用意してくれたステッカーが可愛くて最高だった(現金である)。
中でもGrabBag交換会はとても楽しそうで、送料を理由に買わなかったことを死ぬほど後悔した。。

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あとはものすごくプライベートなことだが、三次会くらいでBiaccoさんとゆっくり?話せて嬉しかった(内容はどちらかというと仕事の愚痴になってしまったので付き合わせて申し訳なかった。。)。私の自作キーボードコミュニティとの接続は技術書展4で始まっていて、その前日にあった技術イベントでたまたまあった mizchi から Biacco42さんの話を聞いて、それで技術書展に自作キーボード勢が出ていることを知ったのだった。それまでは一人でやっているだけだった訳で、ものすごく勝手にだが、mizchi には繋げてもらったなという気持ちがあるし、これまた勝手にだが、コミュニティに入っていくハードルはBiacco42さんがいてくれたおかげでだいぶ下がった。Ergo42や同人誌に見る最高のセンス、ARM版開発やポッドキャストそれはそう」など間違いなく「やっていって」いるスタイル。間違いなくコミュニティのコアとなる方で、純粋に話ができて嬉しいというただのファン的なムーブの話だ。

それから

というわけで少し話が逸れたが、今振り返ってみてもイベントの開催頻度が尋常ではない。これらが起こりながら、途中では Mint60, Blockey, Fortitude60, Helix Pico, crkbd v2.0, Lily58などの発表や発売が相次いでいた。HHKBミートアップぐらいまではまだ外巻きに盛り上がりを見ていた自分も、MFTでDiscord勢として参加して以降、すっかりこの熱量の虜になってしまった。
これ以降もイベントは続いていく。ゆるキー Vol2、そして偉大なる天キー(参加できなかったことが悔やまれる。。)。
2018年のこの流れは、遊舎工房の実店舗開業という大きなEpicに結実しつつ、さらなる盛り上がりを期待させる。
ファクトリーヘッド系Vtuber月山縁ちゃんの誕生や、天キーで発表のあったほぼ週間キーボードニュースもきになるところ。
来年もまた、アツく楽しい一年になりそうだ。

次回予告

MFTで出会った crkbd と Helix Pico。
また、ゆるキー Vol.2 で出会ったJacoさんのキメラキースイッチそしてlube。
コミュニティの熱量に翻弄されつつ、自分自身でも沼に沈み込んでいく…。
Vol.3 のネタがあるのはいいけどまじでこれ書けるのか、やっていくぞ…!

バーチャル受肉で一足お先に身体から魂を解放しよう:VRoidで魂の器を作り、受肉したアバターでclusterの大地に立つ

こんにちは、最近寒いですね、皆さんSFは好きですか?私は好きです。

アン・レッキー『叛逆航路』

叛逆航路 (創元SF文庫)

叛逆航路 (創元SF文庫)

皆さんこの作品は読まれましたでしょうか。 2015年に話題となったSF作品で、現代の我々とは異なる価値観の文化を持ついくつかの種族の間で起こる事件を描いた作品です。注目されたのは作中における「性」の取り扱いでした。

アン・レッキー Ancillary Justice(邦題『叛逆航路』)の世界では、ラドチという名の星間国家が人類宇宙の大半を支配している。ラドチの文化(とその言語)では、ジェンダーで人を区別しない。それは無意味なことと見なされているのだ。英語で書かれた本作中では、ラドチ人に対して(多くの場合で非ラドチ人に対しても)記されている性別の手がかりとは関係なく女性代名詞"she"を全面的に用いることで、言語的なリアリティを持たせている。

Webミステリーズ! : 「彼女はたぶん男だろう」――あらゆる登場人物が女性形で呼ばれるアン・レッキー『叛逆航路』、5カ国語でどう訳す?[2015年12月]

ジェンダー論的な視点でというよりも、そうした概念が変更された文化がどうなるのかといった思考実験としても面白い作中世界観でした。

あるいは、「they」を使う習慣

また、現実の英語圏の一部では、性的に中立な代名詞としてhe/sheではなく「they」を使おう、という話も上がって久しいですね。

「They」は「私」 LGBTが変える英文法の常識|日経カレッジカフェ | 大学生のためのキャリア支援メディア

実際どうなのというところはまぁそんなに追ってないのでわかっていませんが(薄い)、個人的には非常にSF的というか、マクロに人類史を見ているような感覚があって面白く感じました。

私は、世の中がSF的になっていくこと、その世界で生きていることに純粋にワクワクします。

いま、バーチャルに受肉するということ

先日某氏に「Vをやっていくならいま、受肉する必要がある」という話をされました。本当は色々文脈があるけど割愛の上。 正直なところあんまり受肉ということについては興味がなかったというか「美少女になるといってもV活動をやれる気はあまりしないし、そうするとなる意味はあまりないよなあ」「正直美少女なりたいか??自分は美少女ではない(ゲームでは自分の性別のキャラクターをビルドする、なぜなら俺が主人公だから派)」くらいに考えていたのですが、その話を聞きながらぼんやりと「VRで人が普通にやっていく時代の先駆けとしての受肉ってあるのか」という気持ちになりました。昨年来V界隈はそういう自認もあって盛り上がっていた(特にのじゃろりさんの文脈では)と思うのですが、改めて自分もその中にあるのだということが分かりました。

先の性の話もそうですが、基本的に人間は自分の物理身体に人格を宿らせていると思います。 めちゃくちゃにバッサリと人間の苦しさを表現するならば、そこから逃れられないことが挙げられるのではないでしょうか。 自分の身体性を自由に切り離すことができる(もちろん、切り離さなくてもいい)時代に生きている、それでいてV業界にやってきたのであれば、それはもう「受肉」しておかないのは、目の前に月に行けるチケットがあるのに掴まないようなものでしょう。

というわけでVRoidで魂の器を想像していく

とはいえ自分にはキャラクターイラストの能力もなければ、キャラクターモデリングの経験もありません。 しかし2018年は素晴らしい、VRoidがあります。

vroid.pixiv.net

この記事は一応でも cluster advent calendar 2018 の一環ですので、界隈の方が購読している可能性が高いと思うと言わずもがなとは思いますが、VRoidとはpixiv社が開発した魂の器を製造するソフトウェアです。 以下のように、ゲームのキャラクターメイキングをもうちょっと高度にしたような温度感でキャラクターモデルを作成できます。


VRoid Studio - the first 3D character design software for illustrators

まずはこちらで器を作ります。 大まかにいって、

  • 髪型
  • 体型
  • 衣装

といった設定項目が存在します。

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デフォルトではこのようなかたちです(これは少し顔を編集した状態)。 よくあるキャラエディットを思い浮かべてもらえれば感覚がわかるかと思います。 髪の毛に関しては先の動画のように直感的に毛束を生やすことができ、私のようなキャラクター絵を描いたことがほとんどない人間でもそれらしい格好を作ることが可能です。

2018年なので他者の創作物を活用する

とはいえ…正直なところサンプルアバターをいじった以上のものを作ろうとするのは初心者にはハードルの高いものです。 そこで、2018年の私たちはインターネットに公開されているテクスチャデータを活用することを考えます。

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このように、現代ではBOOTHなどを中心に3Dモデルなどのデータが多数配布されており、しかもPayPalで簡単に著者に還元することができます。良かったですね。 というわけで、こうした中でVRoid用のテクスチャも配布されています。

f:id:htomine:20181216023656p:plain 【VRoid】瞳テクスチャ20種セット - Shin Itagaki - BOOTH

例えば上記は瞳のテクスチャセットをダウンロードし、置き換えてみたものです。 結構雰囲気が変わり「あ、魂感じてきたな」という気持ちになるのではないでしょうか。

服や小物などの自由度はまだちょっと低め

ちなみにVRoidの服に関しては、基本的にプリセットで用意されている「制服」「ワンピース」に対してテクスチャを貼る形で実現します。 そのため自由度の高いデザインが可能、というよりは、決まった型紙でどんなデザインを実現するか、といった世界観となっています。 とはいえ、バージョンアップで着々と機能追加・改善も進んでいるようなので今後は自由度も増えていくことでしょう。

【VRoid用テクスチャ】制服着崩しアレンジv1.01 - KI_MOTOR_SHOP - BOOTH

さて、今回は上記のデフォルト制服を着崩したような衣装を着てみました。BOOTHではブーストといって、配布の金額に上乗せして支払いが可能です。もっとサイバーでSFチックな衣装も増えてほしい!という思いも込めて少しですが上乗せしていきます。こうしたクリエイター向けのサービス設計はpixivさんならではですね。

2018年の力でひとまず器が出来上がる

というわけで、下記のようになりました。

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今回は紫をテーマカラーとしたい思いがあるので、各種アセットも紫をベースにしたものに調色しました。簡易ですがキャラクターのイメージに手軽に寄せることができて便利ですね。お化粧は奧さんに教えてもらいました。 前述の通り私はSFが好きなので、もっとサイバーでパンクな感じの衣装や小物も考えていきたいところです。ですがまずは器があれば、受肉することは可能。 以下のようにポージングをして撮影することができるので、そのままでもとても楽しいです(ポージング手づけ時間が溶ける)。

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というわけで、ひとまず器になるVRMアバターが用意できました。コミュニティの創造物も活用させてもらいつつ、好みの顔、好みのデザインの魂の器が手軽にできてしまう、それが2018年というわけです。 自由度の点で言えば自分で何らかのモデリングソフトを利用した方が、これはこれでコミュニティーにはたくさんの利用可能なアセットがあるため、より自分好みのアイデンティティを発揮したアバターが作成可能かと思います。しかし、私のような未経験者にとってはなかなかハードルが高いもの。 まずはVR時代に飛び込むための、自由に動ける体を得るのだという点に関しては、VRoidの手軽さと自由度のバランスは素晴らしいと思います。

受肉」する

器はできましたが、とは言えこれではまだ「受肉」とは言えないでしょう。 ポージングさせて画像を撮ったところで、あくまでそれは器、人形でしかありません。 「私」がこのVRMアバターとなって生きてこそ、受肉と呼べるのかと思います。

ここについては人によって様々にやっていく方向があるかと思います。 突然自分を語ると、私は人が集まる場を作ってそこを自分の居場所とするのが習性です。ですので、バーチャル空間での受肉についてもまずはそうしたアプローチで触れていくのが良いかなと考えています。 具体的にはイベントを開くことで人を集め、より人間を受肉文化に放り込んだり、距離の概念を捨てされるバーチャルコミュニケーションの体験を広めていくのが直近やりたいことと言えそうです。 というわけで予定調和的ではありますが、最近転職した会社が提供するサービスであるところの cluster にて、このアバターを使えるようにしてみます。

VReducer を使って、VRoid製のアバターを cluster に適合する形に

現在のところ cluster では、ライブ配信時の負荷対策の一環として、また、ライブ環境で正常に動作する状態を担保するため、カスタムアバターにはいくつかの制限があります。VRoidでエクスポートしたVRMデータをそのまま cluster に読み込んでエラーが出た場合は、VReducerというソフトウェアを利用すると良いかもしれません。(ちなみに、公式にオススメ、ということではなくあくまでとみね個人の話です)。

github.com

導入方法は→などを参考に: VRoidのアバターをVReducerでcluster用にコンバートしてみた

VReducerを通したVRMデータを、 https://cluster.mu/account/avatar からアップロードします。

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その際下記のようなエラー(一例)が出た場合は、VRoidに戻って対処が必要です。

'[{"Code":"TOO_LARGE_COUNT","Resource":"image","Message":"image count is too large.","Meta":{"actual":hoge,"max":16}}'

仕様としては アバターの制限 - cluster SDK ドキュメント|cluster(クラスター) などを参照していただければと思いますが、髪の毛のボーンが多すぎる場合や、不要なカラーやテクスチャが多い場合などでエラーが起きるようです。今のところ髪揺れなくすと概ね通りそうです。 以下の記事ではよくある事態についてわかりやすく解説してくださっています。

colaiiiyahhou.hatenablog.com

さて、うまくいけば

f:id:htomine:20181217032108p:plain こうなって

f:id:htomine:20181217032212p:plain お、、

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というわけで無事、受肉の第一段階を突破することができました。はいかわいい! 弊社では週次の全体ミーティングを cluster 上で実施しているので、これで来週からバーチャルな存在としてより強固にミーティングに参加することができるようになりました。

終わりに

だいぶ迷走した感じの記事になってしまいましたが、バーチャル空間にオリジナルのアバターで降り立つことができました。 正直に言えばまだまだ器の造形が足りないというか、魂を預けるにはアイデンティティがうまく乗せられていないなと思うので、もう少しそうした点にこだわった作り込みをしていくつもりです。

単なるソフトウェア上のアバターとしてではなく、自分の魂を仮託する存在としてのVRアバター。今、2018年の最後に一足早くSF的な人間の在り方に手を伸ばしてみるのはどうでしょうか。

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2018/11/30 をIncrements株式会社での最終出社日として、2018/12/1 から cluster (クラスター株式会社) でデザイナーをやっていくことになりました。

Incrementsには丸5年在籍していました。社内はもちろん、TwitterやQiitadonではユーザーの皆様をはじめ社外の方々にもとてもとてもお世話になりました。ありがとうございました。

2年前にViveを購入してから次はVR界隈で働きて〜と漠然と考えていましたが、VRでWebのUIデザイナーというとなかなかスキルセットが合わずあまり具体的には考えられていませんでした。そんな中clusterはWebもありVRもありで自分にも手伝えるところがあり、かつVRの今のポジションに対して現実的な目線と未来的な目線とをどっちもとっていくスタンスが良いなと感じ飛び込むことに決めました。

そんなわけで、これからも趣味に仕事にやっていきつつ、SF的未来の到来を加速させるべく頑張ります。 今後ともどうぞよろしくお願いします。

f:id:htomine:20181203193331j:plain 転職するキーボードです

私の2018年と自作キーボード Part1

この記事は 自作キーボード Advent Calendar 2018 - Adventar 2日目の記事です。

2018年は自分にとって自作キーボードに魅了された一年となった。
キットは6台ほど作りまだ2台ほど積みがある。たくさんのイベントに出たり、いくつかはイベントを開いたりもし、界隈に知人も増えた。ちょっと前にはキーキャップ欲しさに?台湾にも行った。

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ハマる過程を通して沼の一端を見てもらえるのではないかなと思うので、まずはそれをまとめてみようとおもう。
なお長くなったのと、期日に間に合ってないのが辛いので Part1 として一旦放出する。。。

書いたキーボード: crkbd v2.0α / Cherry Silent Red + Aliaz Silent のキメラスイッチ(45g) / MDA BigBang keycap / nilpo ケーブル

はじまりは Let's Split

昨年末、メカニカルキーボードが欲しくなった。
当時 kickstarter に出ていたX-Bowsというエルゴノミックキーボードに目をつけてBackしていたものの順調に遅れていたため、何かないかなと探していたところ、Let's Splitというキーボードが目に留まった。
左右分割キーボード自体は職場でもErgoDoxに手を出している人が何人かいて認識はしていたけれど、三万円からの高級キーボードに手を出す怖さと、HHKBにすら感じていた「キー数少ない/配列が独特なところ」から手を出すには至っていなかった。

「レツプリ」が良かったのはまず私にとっては値段だった。総額でもErgoDoxなどに比べればお安いのはもちろん、パーツごとにばらばらと買うことで気持ちとしては実質無料と言えるため心理的なハードルがぐっと下がった。完全に沼にハマる奴特有の低下した思考力である。

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なぜか印刷されているル●ンについては気にしないでください…

当時すでにレツプリはビルドログも多くあったが、正真正銘の初心者にとってはパーツひとつとってもそれがなんなのかもわからない有様で、いくつものログを並行して眺め、少しづつ理解しながらパーツを集めていったのを思い出す。
半田付けへの苦手意識もあり、部品が揃って組み立て始めるまでにしばらくかかった。

ビルドに関してはたくさんの記事を読み込んだことで、幸いにも初手でありがちなミスをせずにすんだ。スイッチプレートを挟み忘れたりProMicroの向きを間違えたり、、といったもの。また、半田付けも思ったよりは難しいものではない、という感触が得られたのもよかった。実際中学以来だったので、それまでは何か怖いものという感じで苦手意識が強かった。

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レツプリでは以前から気になっていたCherryのSilent Redをチョイスした。
軸の選択基準についてはあまりイメージもなかったのだが(それもメカニカルキーボードに手を出しづらい要因だった)、会社用にするつもりだったので、静音軸ってのがあるのか、それは良いなと記憶に残っていた。

キーキャップも死ぬほど悩んだが、当時買ったPixel2のPanda colorの配色が気に入っていたので、グレー基調に差し色としてオレンジをワンキーいれる、という形で落ち着いた。キャップについては何日もPimpmykeyboardやAliを彷徨って決めたが、あれはいつやってももどかしくも楽しい作業で、無限に時間が吸われる。この時はグレーの微妙な配色を狙ってカラーチップとにらめっこしたが、在庫の関係もありその点は敗北した。

数字行が欲しい… Irisに手を出す

出来上がったレツプリは早速オフィスで使ってみた。コンパクトな筐体にお気に入りのキーキャップ、調色可能なLEDもとてもいい。Silent Redの打鍵感も一発で気に入って「もうこれEnd Gameってやつじゃね?」と感じた。愚かな初心者である。。
ところが実戦で使い始めてすぐ「数字行ないのきっつー!」ということに気づく。
レツプリは四行しかキーの行数がないので、数字やファンクションを入力したければレイヤーキーを使うことになる。これが思いの外厳しかった。例えば英数混じりのパスワードを打鍵するときのような、慣れたものであるほどいつもどおりの配列で打てないことにストレスがたまる。
一発でパスワードが通らないことが続いて流石にこれはキツい、という感想となった。

ここで「なら行数多いやつ作ればよくね?」となるのが自作キーボード沼の楽しいところ、いや、怖いところだ。色々考え、レツプリを買ったkeebioで売っていたIrisに目をつけた。

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Irisは親指あたりの形状にErgoDoxの雰囲気を残した、親指部分を入れて実質5行分のキー配列をもつキーボードだ。 これならば数字もレイヤーに収めずにそのまま打鍵できるし、そのほかにも厳しいと感じていた右手右端あたりの記号類の配置にも余裕が出る。これだ!ということですぐに発注した。

一方で、Irisのプレートの形状はあまり好みではなかった。レツプリもそうなのだが、どうもプレートタイプはミニマルではあるがモノとして少し物足りないというか、いかにも自作!という感じがするなあと考えていた。レツプリはとくに高さがあるので、そう感じたのかもしれない。 そこで目に留まったのがこのケースだった。

f:id:htomine:20181203031943p:plain https://www.thingiverse.com/thing:2861224/comments

これは3Dプリントケースで、プレートと違って一体感のある形状であり、高さのあるフチがキーキャップ側面まで覆っている。手元のレツプリと違って製品っぽさがぐっと高まっていて、完成度の高いものに見せていた。 これだ!ということで、どうやって実現するかを検討し始めた。 当時家に @interestor の買ったレーザーカッターが届いたころであり、これを使って似たようなケースがつくれないかな、と考えていた。3Dプリンタもあったのだが、ベットのサイズ的に出力は難しそうだったからだ。

オリジナルケースの制作

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レーザーカッターの使い方を教えてもらいながら、試作を進めていった。 先のケースは3Dデータが公開されていたので、今回のケースの印象を決める部分でもある、キーキャップを囲む縁どりの部分をスライスするように切り出し、Iris公式の積層タイプのプレートに、飾りの層として重ねて貼り付けることにした。
また、たまたま家に貼るタイプの木質シートがあったこともあり、木目調のケースデザインとすることも思いついた。

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手に入りやすいMDFの厚さのバリエーションと、家のレーザーカッターでカットできる厚みとの関係もあり、何度もカットしては重ねて雰囲気を確かめた。家に機材があると、この工程は比較的気軽にできるのでとても良かった。
レーザーだとどうしても積層させることになるので、ケースの側面がどうしても不恰好になる。レーザーによって焦げた断面が意外と木目の風合いと合っていたのでこれはだいぶマシになったが、本来は重ねたあとにヤスってならして塗装して、、を繰り返すとよいはずだ。

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肝心の組み立てをやる気がなかなか起きず、結局8月にあったMaker Faire TokyoのDiscordブースへの参加を決めたことをブーストにしてなんとか完成させることができた。

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今度の Iris では Gateron の Silent Red をチョイスした。静音軸はレツプリでだいぶ気に入っていたので、Gateronに変えるとどう変わるだろう、ということで選んだものだ。
結果としては多少カスカス感が強いもののほぼ同じ印象で、オリジナルケースのポクポクした打鍵感と相まってかなり気持ちの良いものになった。

「慣れ」の強さ。 数字行遠くね…?という気づき

オリジナルケース付きIrisは無事MFTでも展示でき、めんどくささからくる仕上げの甘さは気にかかるもの、2台目として相応にこだわって製作することができた。
こちらも早速職場に持ち込んで使ってみたのだが、これまたすぐに気づいた点がいくつかあった。

まず、あれほど欲しがってIrisを作るきっかけとなった数字行。Irisの制作がケースの関係もあって3、4ヶ月(いやだいたいサボってただけだが)かかってしまったこともあり、その間にレイヤーを使った数字行の打鍵にもだいぶ慣れていた。
結果、「数字行、ホームポジションから遠くて打ちづらい…」という感想を得てしまう。。
あれほどタイプミスの多かったパスワードも今ではほぼノーミスで打鍵できるようになっており、せっかく組み上げたIrisでは活用しきれないキーとなってしまった。
また、Irisの親指位置にくるキーは1uを二つ配置したものの、上側のキーは指が届きづらく打鍵しにくかった。

打鍵感は申し分なく、見た目もこだわった。今度こそ『End Game』か!と思ったのだが、使えば使うほどこうしたい、ああしたい、というところが見えてくる。
これが沼か、ということを実感することになった。

さらなる沼に触れた MFT2018, tokyomk5

春頃にあった技術書展やHHKBのファンイベントでは遠巻きに自キ勢を眺めて仲間になりたそうにそっちをみているのが立ち位置だった。気づけばTwitterは自キ勢一色のTLとなっており、MFTはじめイベントに顔を出すようにもなっていた。
イベントに行くとみな自分の自慢の愛機を持参してくる。だいたいがこんな感じの会場となる。

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キーボードはやはり物理的なデバイスなので、触ってみないとわからないことがたくさんある。キーの配列、スイッチの感触、キーキャップのプロファイル…。
なかなかすべてを触ってから購入、とはいかないのだが、こういうイベントにいくとそれが触れてしまう。
Irisが思うようにハマってくれなかったこともあり、やはりもう一台…という気持ちがもたげてくる。
そんなとき MFT で出会ったのが、crkbdHelix Pico だった。

つづく